摂食嚥下外来

摂食嚥下外来について

当院では未病の状態からの予防のための助言や治療、また脳卒中の既往のある方の再発予防まで、お薬に限らず生活、特に食事の面を重視した診察・アドバイス・治療を行なっています。
この診察は保険範囲内で行なっています。ご気軽にご相談ください。

脳卒中既往のある方への食事指導

脳卒中による後遺症として、食事中にムセる、食べ物が喉にひっかかる、急いで食べてしまうなど食事時に何かしらのトラブルがみられることがあります。

  1. 食事や水でムセる原因
    口から食べて喉を通り、胃まで食べ物が運ばれる時には、いくつもの器官が順序良く動くことで安全に運ばれますが、脳卒中によって脳とそれぞれの器官とのやり取りがうまくいかなくなると、胃に運ばれるはずの食べ物が肺に入ってしまうことがあります。それを誤嚥(ごえん)といい、体の防御反応としてムセ(咳反射)によって肺から食べ物を出そうとします。
【図】食事や水でムセる原因
  1. 誤嚥しないためには
    食事中たまにムセがある程度であれば様子をみても良いですが、一口ごとにムセるなどひどい場合には食べている食事や食べ方を見直す必要があります。また、誤嚥がきっかけとなる肺炎を誤嚥性肺炎といいますが、その予防にはその方にあった食事の提供と口の中をきれいにしておくことも重要です。
  2. 退院後の食事評価
    脳卒中が改善し、病院から退院してくるときに受けた栄養・食事指導で、水分にとろみをつける、ゼリーやプリンなどしか食べてはいけないなど食事が制限されている場合もあります。食べる機能は体の回復とともに変化してくることもありますので、本当にその食事が適切かどうか適宜見直す必要があります。
    これまで多くの方々の食事を拝見し、退院時は制限された食事でも、徐々に普通食へと進められた患者さんも多くいらっしゃいます。

当院では、摂食嚥下スクリーニング評価や食事評価などによってその方に合った適切な食事内容、食べ方、調理法、口腔ケアの方法、介助が必要な場合は介助方法など食事に関するすべての面からアドバイスいたします。
詳細な摂食嚥下機能検査が必要な場合は、必要に応じて提携施設へご紹介し、検査結果を共有しながらアドバイスも可能です。

提携病院

東京都立荏原病院

脳卒中予防のための食事指導

脳卒中の予防には、高血圧、糖尿病など管理と、喫煙、飲酒、食事、運動などの生活習慣の修正が必要ですが、中でも食事については血糖値を急上昇させないこと、塩分コントロールが重要です。そのためにはバランスの良い食事の内容に加えて、食べ方も見直す必要があります。

問題な食べ方とは「早食い」で、よく噛まないで飲み込むということは、次のようなリスクが潜んでいます。

  • 肥満になりやすい
  • 血糖値が急上昇しやすい
  • メタボリックシンドロームを発症しやすい
  • 消化が悪い
  • 誤嚥しやすい
  • 窒息事故をおこしやすい

このように、動脈硬化疾患を招く以外にも、誤嚥や窒息といった食べる機能にも影響を及ぼします。
早食い防止にはしっかり噛むことが必要ですが、噛むことはそのほかにも脳血流量の増加や消化を良くするなどのたくさんの良い働きがあります。

【図】咀嚼のメリット

当院では、摂食嚥下機能のスクリーニング評価や日々の食事内容から、個人にあった適切な食事のアドバイスを行っています。