コラム

コラム記事一覧

殿様枕症候群 (Shougun pillow syndrome)

国立循環器病研究センターからとても重要な研究結果が発表されました。 高い枕を使用している方は脳卒中(特発性椎骨動脈解離)の危険性が高くなるというものです。具体的には53人の特発性椎骨動脈解離の患者さんの枕の高さを調べたところ、12cm以上が18人(34%)、15cm以上が9人(17%)と明らかに枕の高さが高ければ高いほど危険性が上がるという結果です。 椎骨動脈とは首の骨(頚椎:第1~7頚椎)の両側を貫くように走行している脳の後側(脳幹・小脳や後頭葉)に血液を供給している重要な血管です。特発性椎骨動脈解離は内膜・中膜・外膜の3層構造を持っている動脈が何らかの…

歯ぎしり・食いしばりと頭痛

無意識に歯を食いしばってしまう、朝起きたら顎が痛いなど、歯ぎしり・食いしばりのみられる方が多くいらっしゃいます。 歯ぎしりや食いしばりは成人の頭痛との関連が指摘され(a)、 特に夜間に起こるものは朝方の頭痛との関連が報告されています(b)。3歳から6歳の小さなお子さんでも夜間の歯ぎしりは3.25倍の頭痛のリスクになると報告されています(c)。 頭痛などがなくても歯ぎしり・食いしばりは歯の損傷やグラつき、知覚過敏、顎関節症の併発にもつながります。 これらの歯ぎしり・食いしばりの主な原因はストレスであると言われています。しかし、夜間就寝中にストレスは感じていない…

発達障害と栄養欠損

注意欠如・多動症(ADHD:Attention-deficit/hyperactivity disorder)とは、不注意(集中力がない)、多動性(落ち着きがない、待つことができないなど)・衝動性(突発的な行動をする)の2つの特性を中心とした発達障害です。以前からこれらの要因として様々な栄養欠損が指摘されています。 まず、ADHDの症状をきたす63%に遅延型フードアレルギーの関与があり、これらの食材の除去が効果的であったとの報告が有名機関紙に報告されています。 (参考文献)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21296237/ …

子供の頭痛と鉄欠乏

頭痛のお子さんの問診や血液検査などをおこなってみると、鉄欠がみられることが多いのに気づきます。子どもの成長には、鉄は大変重要です。(骨や筋肉、皮膚、血管などの生成にはコラーゲンが重要であり、その生成に鉄が必要不可欠です) 生まれたばかりの赤ちゃんはお母さんから十分な鉄をもらって生まれてきますが、急速な成長に伴い、生後6カ~2歳くらいまでのあいだに、もらってきた鉄を使い果たしてしまいます。そのため、さらに十分な鉄の補充が必要なのです。 しかし、頭痛を訴える子どもの血液検査をしてみると、鉄欠乏性貧血であることがほとんどです。つまり、成長のために鉄が使われるのに追いつか…

子供の頭痛

子どもの頭痛は年々増えています。 日本での子どもの頭痛の統計では、中学生の片頭痛の有病率は男児で3・3%、女児で6・5%となっています。 高校生の片頭痛は男児13・7%、女児17・5%。緊張型頭痛は男児23%、女児30・6%と緊張型頭痛の割合が増え、全体として女児の有病率が高くなっています。 小学生以下のデータはありませんが、片頭痛に関しては大人同様に典型的な片側の頭痛というよりは両側性が多いといわれています。 頭痛を頻繁に訴える子どもさんは、やはり首こり(板状筋に緊張)があることがほとんどです。これを裏付けるような研究結果が出ています。 小学生…

頭痛の対処法

頭痛の対処法 •冷やす?温める?頭痛の多くは緊張型頭痛または片頭痛です。 頭が重く、締め付けられるような痛みの時、これは緊張型頭痛の要素が主と思われるので首の後ろを温めて下さい。こめかみがズキンズキンと拍動するように痛む、光が眩しい、吐き気が出るなどの片頭痛の兆候の場合には前頭部や後頭部をそれぞれ冷やし安静にします。この時、首は冷やさないようにしましょう。片頭痛でも首こりが関与していますので、冷えることで刺激の要素が高まります。入浴すると頭痛がひどくなる…という方がいます。頭痛がある急性期は当然入浴は控えましょう。痛みのない時でも入浴すると頭痛がしてくる…という方はどうすれば良いでし…

頭痛の予防

頭痛は日頃から気をつけることで予防できることも多くあります。以下に有効な対策をお伝えします。実践してみてください。 ● 生活のリズムを整える 出来るだけ毎朝決まった時間に起きること。週末なども毎日同じ時間に起床してリズムを整えることが大切です。寝不足はもちろん、週末にありがちな寝過ぎも乱れる要因となります。睡眠リズムを習慣づけるよう心がけてください。 ● コンピュータやスマートフォンの使いすぎに注意 これらの使用は前傾姿勢やブルーライトをはじめ眼を使うことでの首のこりを悪化させることになります。長時間の使用は避け、適宜休息をとるようにしましょう。 …

起立性調節障害と頭痛

起立性調節障害は自律神経の調整の不具合により、朝になかなか起きることが出来ない、全身だるさ、頭痛、立ちくらみ、立っていると気分が悪くなるなどの症状をきたすものです。頭痛が強く朝起きられず学校へも行けない・・・というお子さんも時折います。近年では起立性調節障害と診断されること多くなっています。 自律神経の調節が上手くいかないと緊張と緩和の調整が不安定となり頭痛が起こりやすくなります。 (特徴) 症状としては下記のような特徴があります。 朝なかなか起きられず午前中調子が悪い午後から少しずつ回復してくる立ちくらみやめまいを起こしやすい疲れると訴えるこ…

フードアレルギーと片頭痛

増加傾向にあるアレルギー疾患 近年、花粉症や蕁麻疹などのアレルギー疾患は増加傾向にあります。 これらはアレルゲンと呼ばれる反応物質が体内に入ることで、極短時間で反応を示すいわゆるIgE即時型アレルギーです。 そのアレルゲンとしてスギ、ヒノキの花粉やハウスダト、猫や犬などの動物に対するものなどが比較的多くみられます。 また食物の中でも蕎麦やピーナッツなどは以前から言われているようにアレルゲンとなる可能性が高いものです。 最近では通常問題ないと思われているトマトやキュウリなどの野菜でも即時型アレルギー反応がみられる人が増えてきています。 アナフィラキシーショッ…

片頭痛の予防としての食事療法

食事療法の臨床研究 東海大学病院の下田先生が片頭痛の予防として132名の片頭痛の患者さんに糖質調整(制限や食べる順番)の食事療法を行った臨床研究を発表されています。 半年間以上、食事療法が継続できた29名で28名が片頭痛の発作回数が減少し同時にほぼ全例で体重とBMIの低下がみられていました。 肥満においては最近話題となっている脳過敏要因となる炎症生物質であるカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)が増加していると言われており、肥満の改善によりCGRPが減少した可能性も考えられます。 また、糖質摂取の調整をすることにより血糖の乱高下、低血糖が緩和されることにより過度な…